不溶性食物繊維が多い食品TOP15|豆類・穀物・野菜別に整理【八訂成分表ベース】
Aug 21, 2026
不溶性食物繊維、正直よくわかってない人が多い。ドラッグストアで「食物繊維」と書かれた商品を手に取っても、それが不溶性なのか水溶性なのか、パッケージに書かれてないことも多い。
この記事では、日本食品標準成分表2020年版(八訂)の実データをもとに、不溶性食物繊維が多い食品をカテゴリ別に整理する。100gあたりの含有量だけでなく、実際の1食分でどれくらい摂れるかも並べた。というのも、乾燥重量で100gあたりの含有量が高くても、戻すと10gしか食べないケースがあるからだ。数字は現実に即して見ないと意味がない。
データの出典はすべて文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」。摂取目標量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に準拠する。
この記事の要点
- 不溶性食物繊維はセルロース・ヘミセルロース・リグニン等の総称で、水に溶けず腸内で水を吸って膨らむ性質を持つ(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版・健康長寿ネット)
- 100gあたりの不溶性食物繊維量が特に多いのは、おから(生)11.1g、いんげん豆(ゆで)11.8g、ライ麦全粒粉10.1g、あずき(ゆで)11.3gなど(日本食品標準成分表2020年版・八訂)
- 日本人の食物繊維摂取目標量は18〜64歳男性21g以上・女性18g以上(総量、厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版)
- 令和元年国民健康・栄養調査では日本人の食物繊維摂取量は目標量に届いていない
- 不溶性:水溶性=2:1が目安として紹介されるが、食事摂取基準に明確な内訳基準はない
毎日の習慣に取り入れやすい一本として、Five Point Detox も参考にしてみてください。
そもそも不溶性食物繊維とは何か
不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維の総称だ。ヒトの消化酵素で分解されないため、そのまま大腸まで届く。
代表的な成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニン、そして甲殻類の殻に含まれるキチン・キトサン。植物の細胞壁を作っている成分、と言えばイメージが湧きやすいかもしれない。ゴボウを噛んだときのあの繊維感、あれがほぼセルロースだ。
水溶性との違いは、名前の通り水への溶け方。水溶性食物繊維(ペクチン、イヌリン、β-グルカン等)は水に溶けてゲル状になり、不溶性は水を吸って膨らむ。腸内でのふるまいが違うので、両方バランスよく摂ることが一般に推奨される。
公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」でも、食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の難消化性成分の総体」と定義され、水への溶解性で2種類に分類されるとされている。
不溶性食物繊維はどんな食品に多いか
ざっくり分けると、以下の5カテゴリに多い。
豆類の外皮、穀物の外皮(ふすま・ぬか層)、野菜の繊維質な部分、きのこの菌糸、そして海藻の細胞壁。共通しているのは「植物の硬い部分」「加工していない全粒の部分」だ。精白米より玄米、白いパンより全粒粉パン、が繊維量で優位になるのはこのため。
【豆類】不溶性食物繊維が多い食品ランキング
結論から言うと、豆類は不溶性食物繊維の宝庫。おから、いんげん豆、あずきあたりが特に高い。
以下、日本食品標準成分表2020年版(八訂)から100gあたりの不溶性食物繊維量を抜き出した数値。
- おから(生):不溶性 11.1g / 水溶性 0.4g(総量 11.5g)
- いんげん豆(ゆで):不溶性 11.8g / 水溶性 1.5g(総量 13.3g)
- あずき(ゆで):不溶性 11.3g / 水溶性 0.8g(総量 12.1g)
- 大豆(ゆで):不溶性 6.6g / 水溶性 0.9g(総量 7.5g)
- ひよこ豆(ゆで):不溶性 11.1g / 水溶性 0.5g(総量 11.6g)
おからは豆腐を作る際に絞り出される「かす」だ。かす、と言うと聞こえは悪いが、大豆の外皮と繊維がまるごと残っているので、100gで11gの不溶性食物繊維を含む。これは想像より多い。スーパーの豆腐売り場の隅で、150円くらいで売られている食材が、栄養面ではこれほど濃密という事実。
いんげん豆やあずきは、和菓子や煮物で食べる機会がある。ただし現実的な1食分は50〜80g(ゆで)くらいなので、実際に摂れる量は6〜9g程度。それでも1日目標量の3〜4割を1食で稼げる。
豆類の落とし穴:戻し重量で考えないと数字が狂う
ここで注意したいのが、乾燥豆と茹で豆の数値の混同。乾燥あずきの100gあたり不溶性食物繊維は17.1gと表示されているが、乾燥豆をそのまま100g食べる人はいない。水で戻すと2.2〜2.5倍に膨らむので、実際の摂取ベースは「ゆで」の数値で見るのが現実的だ。
この点、他社の解説記事は乾燥重量のまま数字を並べていることが多くて、実生活の判断に使いにくい。うちでは「ゆで」ベースで統一している。
【穀物】不溶性食物繊維が多い食品ランキング
穀物カテゴリで結論を先に言うと、圧倒的に強いのは小麦ふすま(ブラン)とライ麦全粒粉。精白米や白いパンとは桁が違う。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)ベースで、代表的な穀物の100gあたり不溶性食物繊維量:
- 小麦ふすま(ブラン):不溶性 41.3g / 水溶性 1.0g(総量 42.3g)
- ライ麦全粒粉:不溶性 10.1g / 水溶性 3.2g(総量 13.3g)
- オートミール:不溶性 6.2g / 水溶性 3.2g(総量 9.4g)
- 玄米:不溶性 2.3g / 水溶性 0.7g(総量 3.0g)
- 精白米(炊飯後):不溶性 0.3g / 水溶性 0g(総量 0.3g)
小麦ふすまの42.3gという数字は、食材の中でも群を抜いている。ただしふすまだけをそのまま100g食べるのは現実的でない。シリアルやパンに混ぜて1食10〜20g摂るのが普通。それでも4〜8gと十分な量だ。
玄米と精白米の差は約10倍。ここが個人的に一番大事なポイントだと思ってる。日本人の主食を白米から玄米に置き換えるだけで、1日1.5合(炊飯前225g、炊飯後約500g)食べる人なら、不溶性食物繊維の摂取量が10g以上変わる計算になる。
なぜ日本でオートミールが広まらなかったのか
ここで少し編集者の視点で書かせてほしい。オートミールは欧米の朝食の定番で、100gあたり6.2gの不溶性食物繊維を含む優秀な穀物だ。にもかかわらず、日本ではコロナ禍以前まで、ほぼ健康マニアの食べ物だった。
理由はシンプルで、日本の食文化に「粥に近い温かい穀物料理を朝に食べる」枠がすでに存在していたからだと思ってる。おかゆ、雑炊、味噌汁+ごはん。オートミールが入り込む隙間がなかった。
ところが2020年以降、SNSで「米化」レシピが広まり、市場が一気に拡大した。日清食品グループの調査では、2020年度のオートミール市場規模は前年比3倍超。栄養学的な優位性は昔から変わっていないのに、レシピという「食文化への翻訳」ができた瞬間に受け入れられた、という好例だと思う。
【野菜】不溶性食物繊維が多い食品ランキング
野菜カテゴリの結論:切り干し大根、ごぼう、モロヘイヤ、ブロッコリー、たけのこあたりが強い。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)から:
- 切り干し大根(乾):不溶性 16.1g / 水溶性 5.2g(総量 21.3g)
- ごぼう(ゆで):不溶性 3.4g / 水溶性 2.7g(総量 6.1g)
- モロヘイヤ(生):不溶性 4.6g / 水溶性 1.3g(総量 5.9g)
- ブロッコリー(ゆで):不溶性 3.7g / 水溶性 0.9g(総量 4.6g)
- たけのこ(ゆで):不溶性 3.1g / 水溶性 0.4g(総量 3.5g)
切り干し大根の21.3g(総量)は野菜界ではトップクラス。ただしこれも乾燥重量。実際は水で戻すと約4倍に膨らむので、1食で使う戻し後の量は50〜80gくらい。それでも1食で4〜6gの食物繊維を稼げる、と考えると悪くない。
ごぼうは日本人にとって身近な繊維源だ。きんぴらごぼうを70g食べたら、それだけで4g強の食物繊維。1日目標の2割超。金曜の夜、疲れて何も作りたくないときに、うちではセブンイレブンの「金のきんぴらごぼう」を買ってくる。150g入って、繊維量はざっくり9g。手を抜いても目標に近づく食材、と思ってる。
モロヘイヤという「意外な繊維源」
モロヘイヤは日本の食卓では地味だが、原産地のエジプトでは「王様の野菜」と呼ばれてきた歴史がある。古代エジプトの王が病気の際にこの葉のスープを飲んで回復した、という伝承がその由来。史実かどうかは怪しいが、少なくとも紀元前から食べられていた記録はある。
日本に本格的に入ってきたのは1980年代。当時は「変な野菜」扱いだったのに、今はスーパーで年間流通する食材になった。粘りけの正体はムチンではなく、多糖類とペクチン。刻むと出るあのネバネバは、水溶性と不溶性の両方の繊維が絡み合ってる状態、と考えるとイメージしやすい。
きのこ・海藻類はどう扱うか
結論:きのこ・海藻は乾燥重量ベースだと数字が跳ね上がるが、実摂取量で見ると野菜と同等かやや上、くらいに落ち着く。
- きくらげ(乾):不溶性 57.4g / 水溶性 0g(総量 57.4g)
- 干ししいたけ(乾):不溶性 38.0g / 水溶性 3.0g(総量 41.0g)
- ひじき(乾):不溶性含む総量 51.8g
- 乾燥わかめ(素干し):総量 32.7g
きくらげ乾燥100gあたり57.4gという数字は、食品成分表の中でも最上位クラス。ただし乾燥きくらげを1食で使う量は3〜5g程度。戻すと30gくらいに膨らむが、それでも実際に摂れる不溶性食物繊維量は1.7〜2.9g。数字のインパクトほどは多くない。
ひじきや乾燥わかめも同様で、戻し前後で10倍近く重量が変わる。パッケージの「食物繊維たっぷり」を鵜呑みにせず、1食で実際に食べる量から逆算する癖をつけたほうがいい。
不溶性食物繊維はどれくらい摂ればいいか
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の目標量は総量で以下の通り設定されている。
- 男性18〜64歳:21g以上/日
- 女性18〜64歳:18g以上/日
- 男性65歳以上:20g以上/日
- 女性65歳以上:17g以上/日
ここで大事なのは、目標量は「不溶性・水溶性の内訳」までは規定していないこと。総量で見る。ネット上の「不溶性:水溶性=2:1」という比率は、あくまで一般的な目安として紹介されることが多い、という位置づけで、公的基準ではない。
令和元年国民健康・栄養調査によると、日本人の食物繊維平均摂取量は成人男性で1日約19.4g、女性で17.5g。目標量にわずかに届かない。特に20代・30代は摂取量が少なく、男性20代は平均17.5g程度と報告されている。
1日目標量を実際の食事に落とし込むと
目標21gを、朝昼晩+間食で分解してみる。
- 朝:オートミール30g(1.9g)+バナナ1本(1.1g)→ 3.0g
- 昼:玄米ごはん200g(2.8g)+きんぴらごぼう50g(3.0g)+味噌汁 → 5.8g
- 間食:ミックスナッツ20g(1.5g)→ 1.5g
- 夜:玄米ごはん200g(2.8g)+ゆで大豆50g(3.8g)+切り干し大根の煮物50g(3.5g)+焼き魚 → 10.1g
合計約20.4g。ぎりぎり届く。逆に言うと、白米・パスタ中心で野菜が少ない食事だと、意識しないと10g前半で終わる。だから足りない、と言われるわけだ。
不溶性食物繊維を摂るときの注意点
結論:一気に増やさない、水を一緒に摂る、これだけ。
不溶性食物繊維は水を吸って膨らむ性質があるため、水分摂取が少ないまま急に増やすと、逆にお腹の張りや便が硬くなる原因になる、と一般に言われている。とくに普段の食物繊維摂取量が10g前後の人が、いきなり25gに増やすと胃腸が驚く。
私自身、健康診断の結果を見て焦って、ある朝いきなりオートミール50g+ブランシリアル30g+バナナ+リンゴという「繊維全部盛り」を試したことがある。結果、その日の午後は腹がパンパンで仕事にならなかった。1週間に2〜3gずつ増やす、くらいのペースが体に優しい。
もう1点。豆類の一部(未加熱の生豆)には消化を阻害する成分が含まれるため、必ずしっかり加熱すること。市販の水煮缶や蒸し豆パックは加熱済みなので気にしなくていい。
水溶性食物繊維との違いをもう一度整理
結論:水溶性は「溶けてゲル化するもの」、不溶性は「溶けずに膨らむもの」。両方摂ることが推奨される。
水溶性食物繊維の代表は、こんにゃくのグルコマンナン、海藻のアルギン酸・フコイダン、大麦のβ-グルカン、果物のペクチン、菊芋・ごぼう・チコリのイヌリンなど。ゴボウは水溶性・不溶性のバランスがよく、100g(ゆで)で水溶性2.7g・不溶性3.4g(八訂)。
両方をバランスよく摂るには、豆類・穀物・野菜・果物・海藻・きのこを日々の食事に散らして入れる、というシンプルな方針が結局は強い。特定の1食材に頼らないほうが結果的にバランスが取れる、と経験的に思ってる。
不溶性食物繊維TOP15まとめ(実摂取ベースで並び替え)
最後に、乾燥重量ではなく「1食で現実的に食べる量」を想定した実用ランキングを置いておく。
- 小麦ふすまシリアル(1食30g):約12.4g
- いんげん豆ゆで(80g):約9.4g
- あずきゆで(80g):約9.0g
- おから生(80g):約8.9g
- ひよこ豆ゆで(80g):約8.9g
- 大豆ゆで(80g):約5.3g
- 切り干し大根戻し(60g):約5.0g(乾燥重量15g換算)
- ライ麦全粒粉パン(60g):約4.5g
- ごぼうゆで(70g):約2.4g
- ブロッコリーゆで(70g):約2.6g
- 玄米ごはん(200g):約2.8g
- オートミール(30g・乾):約1.9g
- モロヘイヤ生(50g):約2.3g
- たけのこゆで(70g):約2.2g
- 干ししいたけ戻し(戻し30g):約2.3g
この順位はあくまで「1食で普通に食べる量ベース」の目安。切り干し大根やきくらげは乾燥重量で語られると桁違いに見えるが、実摂取に直すと豆類のほうが強い。
おわりに
不溶性食物繊維の話は、突き詰めると「白い炭水化物を、色のついた炭水化物に置き換える」の一言に集約される、と個人的には感じている。白米を玄米に、白パンをライ麦パンに、精製小麦の麺を全粒粉パスタに。ただそれだけで、1日の摂取量は5〜10g簡単に変わる。
もちろん全部を置き換える必要はない。うちでは平日の朝食だけオートミールにして、昼夜は白米、というゆるい運用を1年ほど続けている。それでも健康診断の数値は前年より整った気がする、気がする、というレベルの話ではあるが。
まずは1食だけ、豆類か全粒穀物を追加してみる。それで体調がどう変わるかを、自分の胃腸で試してほしい。判断は読んだあなたに委ねます。
