クレンズジュースとは?始め方・選び方・注意点を成分と製法から整理する
Sep 22, 2026
「クレンズジュース」という言葉、ここ数年でだいぶ耳にするようになった。ヨガスタジオの受付、都心のオーガニックカフェ、Instagramの朝食投稿。ただ、定義を聞かれると意外と答えにくい。搾りたてのジュース?断食用の飲み物?デトックスドリンク?、このあたり、実は結構ふわっとしている。
本記事では、クレンズジュースとジュースクレンズの違いから、実際に始めるならどうスケジュールを組むか、市販品と手作りの選び方、そして「やらない方がいい人」まで、成分と製法の観点で整理する。私自身、3年前に初めて週末1日クレンズを試して盛大に失敗した経験があるので、その話も途中で挟む。
先に立場を明確にしておくと、クレンズジュースは食品であり、病気の治療や特定の効能を保証するものではない。「クレンズ(cleanse)」は英語で「洗浄する」の意味の一般名詞にすぎず、日本の食品表示制度上、特定の保健用途を示す用語ではない(消費者庁 食品表示制度)。ここを踏まえたうえで、栄養補給の一手段としてどう付き合うか、という視点で読んでほしい。
この記事の要点
- クレンズジュースは野菜・果実を搾汁したジュースの総称で、コールドプレス製法(低速・低温で圧搾)で作られたものを指すケースが多い(一般的な製法定義)。
- 「クレンズ」は英語で「洗浄する」の意味の一般名詞であり、日本の食品表示上、特定保健用途を示す法的用語ではない(消費者庁 食品表示制度)。
- 搾汁ジュースは搾りかす(不溶性食物繊維)を除くため、元の野菜・果実より食物繊維量が少なくなる傾向がある。
- ケール・小松菜・ほうれん草にはβ-カロテン、ビタミンK、葉酸、カリウムが含まれる(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版)。
- 非加熱・生搾りジュースは加熱殺菌品と比べ賞味期限が短く、要冷蔵管理される製品が多い。
毎日の習慣に取り入れやすい一本として、Five Point Detox も参考にしてみてください。
クレンズジュースとジュースクレンズは同じもの?、用語を分けて考える
結論から言うと、この2つは別物として捉えたほうが混乱しない。クレンズジュースは「モノ(飲み物)」、ジュースクレンズは「行為(食事の一部または全部をジュースに置き換える食生活の実践)」を指す。
クレンズジュースは、野菜と果物を搾汁して作るジュースの総称で、市場ではコールドプレス製法で作られたものを指すケースが多い。コールドプレス製法とは、スクリューやプレス板を使って低速・低温で圧搾する方法のこと。摩擦熱や酸化を抑えながら搾汁できる製法として知られる。一方、家庭用のジューサーの多くは高速回転の遠心分離式で、こちらは短時間で作れるが、刃の摩擦で若干の熱が発生する。
ジュースクレンズは、この種のジュースを用いて数時間から数日、固形食を控える食生活を指す。海外では「juice cleanse」「juice fast」と呼ばれ、日本語では「プチ断食」「ファスティング」の一種として紹介されることが多い。ただ、医学的な絶食療法とは異なり、あくまで一般人が自己判断で行う食習慣の調整という位置づけだ。
ここでややこしいのが、市販の「クレンズジュース」を1本買って普通の食事と一緒に飲むこともあるし、「ジュースクレンズ用のセット」として3日分・6本×3セットで売られていることもある点。同じ商品でも、飲み方によって位置づけが変わる。買う前に「自分は食事に足すのか、食事を置き換えるのか」を決めておくと選びやすい。
コールドプレスって結局なにが違う?、搾汁方法で栄養は本当に変わるのか
コールドプレスの最大の特徴は、低速・低温で搾ることによる酸化と熱変性の抑制にある。ここが遠心分離式ジューサーとの分かれ道だ。
遠心分離式は、鋭利な刃で野菜を高速切断し、遠心力で果汁を絞り出す仕組み。作業は速いが、刃の回転で摩擦熱が生じ、空気を巻き込むため酸化も進みやすい。ビタミンCやポリフェノールなど熱・酸化に弱い成分は、この過程で一部が変化する可能性が指摘されている。
対してコールドプレスは、油圧プレスやスクリュー圧搾で数トン単位の圧力をゆっくりかける。摩擦熱がほぼ発生せず、空気接触も少ない。ただ、これは「加熱殺菌していない」という意味ではない。市販品の場合、殺菌工程として加熱するかHPP(High Pressure Processing、高圧処理)を使うかで、最終的な成分残存率が変わってくる。
HPPは、パッケージに詰めたジュースに約600メガパスカルの超高圧をかける非加熱殺菌技術。加熱を避けつつ細菌数を減らせるため、非加熱訴求のプレミアム系ジュースで採用が進んでいる。ただ設備コストが高く、これを採用している国内メーカーはまだ限られる。パッケージの表示で「非加熱」「HPP」「Cold Pressure」といった記載があれば、この方式の可能性が高い。
もう一つ、意外と見落とされがちな話。搾汁ジュースは、搾りかすを除くため、元の野菜・果実より食物繊維量が少なくなる。特に不溶性食物繊維はほぼ搾りかすに残る。ケールを1株そのまま食べるのと、ジュースにして飲むのとでは、腸内環境への働きかけは同じにならない。ジュースは栄養素の一部を効率よく摂る手段であって、野菜そのものの代替ではない、と私は考えている。
1日・3日・週末プチ、期間別の始め方と現実的なスケジュール
結論、初めてなら「1日クレンズ+前後1日の準備食・回復食」の3日構成が現実的だ。いきなり3日連続でジュースだけ、は勧めない。
私が3年前に失敗したのがまさにこれで、金曜の夜に思い立って土曜から3日間、いきなり6本×3日のセットを頼んで挑戦した。結果、2日目の午後に頭痛と手の震え、集中力の激しい低下で仕事にならず中断。準備食を全く挟まなかったこと、水分と塩分の補給が甘かったこと、そもそも普段の食事量とのギャップが大きすぎたことが原因だった。
準備食は、クレンズ前日の夕食から始めるのが一般的。目安は「マゴワヤサシイ」、豆・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚・しいたけ(きのこ)・いも。動物性たんぱく質を控えめにし、脂質と糖質を落とした和食寄りの食事に切り替える。カフェイン、アルコール、加工食品もこの日から控える。私は失敗した翌年、玄米粥と味噌汁、蒸し野菜という組み合わせで前日を過ごしたら、当日の空腹感がかなり和らいだ。
クレンズ当日は、コールドプレスジュース6本前後を2〜3時間おきに飲む構成が多い。朝はグリーン系、昼はビーツやフルーツを混ぜたもの、夕方に濃厚な根菜系、夜は消化に軽いレモン水系、といったように、糖質と味の強弱を意識して並べる。合間に常温の水またはハーブティーを1〜2リットル。空腹で頭がぼんやりしたら、天然塩を耳かき一杯なめる。これで大体楽になる。
回復食が実は最も重要で、失敗率が高いポイント。クレンズ翌日にラーメンや焼肉を食べると、胃腸への負担で体調を崩す。翌朝はスムージーか具なし味噌汁、昼はお粥、夜に軽い和食、という具合に、24〜48時間かけて通常食に戻す。私の周りだと、11人中4人が「回復食を軽視して2日目に胃もたれで動けなくなった」と話していた。
市販品を選ぶときのチェックポイント、原材料・製法・保管条件
市販クレンズジュースを選ぶなら、パッケージ裏面の一括表示欄を必ず見る。ここで判断できることが多い。
チェックする項目は主に4つ。第一に原材料表示。順に多い成分が並ぶので、最初に「りんご」「オレンジ」など甘い果物が来ている場合、糖質量は高めになる。野菜メインが目的なら、ケール・小松菜・きゅうり・セロリなどが先頭に並ぶ製品を選ぶ。
第二に添加物。保存料、香料、酸味料、還元濃縮果汁の記載があるかどうか。純粋な生搾りを求めるなら、原材料が野菜・果物のみで書かれているものを選ぶ。ただし添加物ゼロの製品は必然的に賞味期限が短く、要冷蔵で7〜30日程度が一般的。長期保存できる常温流通品は、たいていどこかで加熱殺菌または濃縮還元の工程を経ている。
第三に製法表示。「コールドプレス」「低温圧搾」「非加熱」「HPP」といった記載があるかどうか。表示は各社ばらつきがあるため、公式サイトの製法説明まで見に行くと確実。
第四に糖質量。栄養成分表示に糖質量またはエネルギー量が記載されている。1本180〜300mlで糖質20g前後の製品が多いが、フルーツ主体だと30g超える場合もある。1日6本飲むなら合計糖質は無視できない数字になる。血糖の急上昇を避けたい人、糖質を制限したい人は、グリーン主体で1本の糖質10g以下の製品を選ぶ。
保管条件も見落とせない。届いた瞬間に冷凍庫直行か、冷蔵で数日以内に飲みきるか、で運用の手間が変わる。冷凍便で届く製品は解凍時間を計算しておかないと、朝飲みたいのに凍ったまま、という事態になる。
手作りするなら?、3種類のベースレシピと道具の話
結論、家庭で作るならスロージューサー(低速圧搾式)が第一選択。高速ミキサーやブレンダーは「スムージー」になり、繊維がそのまま入るのでクレンズジュースとは別物と考えたほうがいい。
グリーン系の基本形。ケール2〜3枚、きゅうり1本、セロリ1本、りんご1/4個、レモン1/4個、生姜スライス1枚。りんごとレモンで飲みやすさを、生姜で味の輪郭を作る。ケールが手に入らなければ小松菜で代用可能。小松菜100gあたりカリウム500mg、β-カロテン3100μg、葉酸110μgが含まれる(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版)。
ビーツ系。ビーツ1/2個、にんじん1本、りんご1/4個、レモン1/4個。ビーツにはベタレイン系色素(ベタシアニン等)と硝酸塩が含まれ、鮮やかな赤紫色が特徴。土のような独特の香りがあるので、レモンやしょうがで整えると飲みやすくなる。1930年代にロシアや東欧料理と一緒に日本にも紹介されたが、家庭料理に定着しなかった珍しい根菜だ。私が思うに、ビーツが日本に馴染まなかったのは、日本の在来料理に「甘く土っぽい根菜を煮ずに使う」文化がなかったからで、ジュースという生食文化の到来でようやく居場所を得た食材とも言える。
フルーツ系。パイナップル1/4個、オレンジ2個、レモン1/4個、生姜スライス1枚。甘さが強く飲みやすい反面、糖質量は多くなる。りんご・パイナップル・マンゴー等の果実には果糖・ブドウ糖・ショ糖が含まれる。朝一杯だけ、といった限定的な使い方が現実的。
作り置きは基本的にしない。搾ってから時間が経つほど酸化と栄養素の変化が進む。飲む直前に作る、が原則。どうしても保存するなら密閉ボトルに空気を残さず入れて冷蔵、24時間以内に飲みきる。
やらないほうがいい人・注意が必要なケース
クレンズジュースは食品だが、実践形式によっては体への負荷が大きくなる。以下に該当する人は自己判断で始めず、まず医師や管理栄養士に相談してほしい。
妊娠中・授乳中の方。この時期はエネルギーと栄養素の必要量が通常より増える(厚生労働省 日本人の食事摂取基準)。食事を大きく減らす形の実践は避ける。
糖尿病や低血糖症の傾向がある方。ジュースは果糖・ブドウ糖などが液体で急速に吸収されるため、血糖の変動が固形食より大きくなる。インスリンや血糖降下薬を使用している場合は特に主治医への相談が必須。
成長期の子ども。食事を置き換える形のクレンズは、成長に必要な栄養素の摂取が不足する可能性がある。日常のジュースとして飲むのは問題ないが、断食的な運用はしない。
持病があり服薬中の方。特にワーファリン等の抗凝固薬を服用している場合、ケールやほうれん草に含まれるビタミンKが薬の効き方に影響する可能性がある(国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報)。
過去に摂食障害の経験がある方。食事制限を伴う実践は再発の引き金になり得る。「デトックス」「クレンズ」といった言葉に強く惹かれる自分の心理状態そのものを、まず観察してほしい。
そして、健康な成人であっても、長期間・頻繁に実施する食生活ではない。厚生労働省 e-ヘルスネットでも、健康的な食生活の基本として「主食・主菜・副菜のバランス」が繰り返し示されている。クレンズは日常の食習慣を整えるきっかけとしての「点」であって、これで食事を代替する「線」ではない、と私は捉えている。
効果を期待しすぎない、クレンズジュースが「できること」と「できないこと」
ここは薬機法の範囲内で慎重に書くが、正直に共有したい話がある。
まず、クレンズジュースは病気を治療するものではない。医薬品ではなく食品だ。特定の疾患の予防・改善を保証する食品ではないし、「デトックス」という言葉も、体内から特定の毒素が排出されたことを科学的に証明する概念として日本の食品表示制度では使用が制限されている。この点は消費者庁の食品表示制度でも明確に整理されている。
できることは、普段の食事で不足しがちな野菜・果実由来のビタミン、ミネラル、フィトケミカルを、まとまった量で摂取する機会をつくること。厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査では、成人の野菜摂取量平均は約280g/日で、目標値350gに届いていない現状がある。ケール100gをそのまま食べるのはハードだが、他の野菜と一緒に搾汁すれば飲める。この意味で、野菜摂取の一手段としては合理性がある。
もう一つ、間接的なメリットとして、クレンズをきっかけに自分の普段の食事を見直す人が多い。私自身、1回目の失敗と2回目の成功を経て、日常の食事で「精製された炭水化物と砂糖の摂取が多かった」ことに気づいた。クレンズそのものよりも、その前後で食生活のクセを客観視できたことのほうが、長い目で見て役に立った。
できないことは、体重を劇的に落とすこと、体調不良を治すこと、体内の毒素を除去したと証明すること、これらすべて。1日クレンズで体重が1〜2kg落ちる場合があるが、その大半は水分と便の重さで、脂肪ではない。数日で戻る。
結局、どう付き合うか、判断材料としての整理
ここまで読んでもらってわかる通り、クレンズジュースには「万人におすすめ」も「絶対に危険」もない。自分の食生活とライフスタイルに照らして、次の3つを整理すると判断しやすくなる。
ひとつ、目的。野菜不足を補う日常の一杯として飲むのか、月に1回程度の食習慣リセットとして1日置き換えるのか、それとも「なんとなくデトックスに興味がある」なのか。3つ目の場合、期待と実態のギャップで落胆する可能性が高い。目的を紙に書き出してみると案外整理される。
ふたつ、コスト。市販のコールドプレスジュースは1本600〜1200円前後が相場。1日6本で3600〜7200円、3日で1万〜2万円になる。手作りするならスロージューサーの初期投資が3〜10万円、加えて素材代。オーガニックのケール1株が400〜600円、無農薬のビーツが1個300円前後。この金額を出して得られる体験と栄養が、自分にとって納得できるかどうか。
みっつ、時間。準備食1日+クレンズ1日+回復食1日で、最低3日は食生活を意識的に組む必要がある。仕事の忙しい平日にぶつけると失敗しやすい。私の場合、金曜夜〜日曜夜の週末が向いていた。
この3つが自分の中で整理できれば、市販品を選ぶのか、手作りするのか、そもそも今回は見送るのか、判断できるはず。クレンズはゴールではなく、自分の食との向き合い方を見直す一つのきっかけ。試してみて合わなければやめればいいし、続けたければ月1でルーティン化してもいい。判断は読者ひとりひとりに委ねたい。
参考: 消費者庁 食品表示制度 / 厚生労働省 e-ヘルスネット / 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)/ 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 / 厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査
