妊娠中のむくみと水分・ミネラルの付き合い方|控えるより整える
Jul 15, 2026
妊娠後期になると、夕方には足がパンパン、靴下の跡がくっきり……という声をよく聞きます。「水を減らせばいいのかな」と思いがちですが、実は逆で、こまめな水分補給とミネラルのバランスを整えるほうが体はラクになります。
この記事では、妊娠中のむくみの原因と、水分・塩分・カリウムをどう考えるかを、公的機関の資料をもとに整理しました。あわせて、受診したほうがいいサインもまとめています。
妊娠中にむくみやすくなる理由
結論から言うと、妊娠中のむくみの多くは体の自然な変化によるものです。妊娠中は循環血液量が非妊娠時より増えることが知られていて、体液量そのものが増えます。
加えて、ホルモンの変化で体が水分をためやすくなり、大きくなった子宮が下半身の静脈を圧迫することで、足に水分がたまりやすくなります。夕方や妊娠後期に足がむくむのは、この生理的な変化が背景にあります。
ただし、急激な体重増加、顔や手のむくみ、頭痛や視覚異常を伴う場合は妊娠高血圧症候群などの可能性があるため、早めにかかりつけの産科に相談してください。
毎日の習慣に取り入れやすい一本として、Five Point Detox も参考にしてみてください。
水分は控えるより「こまめに」が基本
むくみが気になると水分を減らしたくなりますが、これは逆効果になりやすい方向です。妊娠中は血液量が増えるため、必要な水分量そのものが増えます。
目安としては、のどが渇く前に、コップ1杯を少しずつ、1日を通して分けて飲むこと。一気に大量に飲むより、こまめに口にするほうが体液のバランスが整いやすくなります。
飲み物は、カフェインを含まない麦茶や水が使いやすいです。カフェインは緑茶・紅茶・コーヒーに含まれ、WHOは妊娠中の摂取量に上限の目安を示しています。カフェイン入り飲料だけで水分を摂るのは避けたいところ。
塩分(ナトリウム)は「減らす」より「整える」
ナトリウムは体液の浸透圧や細胞外液量の調節に関わるミネラルで、過剰に摂ると体内に水分を保持する方向に働くとされています(厚生労働省 食事摂取基準)。
日本人の食事摂取基準では、成人女性の食塩相当量の目標量は1日6.5g未満。日常の食事では、味噌汁・麺類のつゆ・加工食品・外食で意外と積み上がります。
減塩のコツは、味を薄くするより「置き換える」こと。だしを効かせる、酢やレモン、香辛料で風味を足す、麺類のつゆは残す、漬物や練り物の頻度を下げる。これだけで1〜2gは変わってきます。
カリウムを含む食材を毎日の食事に
カリウムは細胞内液の主要な陽イオンで、ナトリウムとのバランスに関わるミネラル。食事摂取基準では18歳以上女性の目安量は1日2,000mgで、妊婦への特別な付加量は設定されていません。通常の食事の範囲で意識するイメージです。
カリウムを含む身近な食材は、ほうれん草・小松菜などの葉物、さつまいも・じゃがいも、バナナ・キウイ・りんごなどの果物、豆類、そして麦茶。生野菜や果物、汁ごと食べられる料理は取り入れやすいです。
ただし、腎機能に指摘を受けている方はカリウム制限が必要なケースもあるので、主治医の指示を優先してください。
飲み水は「無理のない範囲」で選ぶ
硬水にはカルシウムやマグネシウムが多く含まれ、これが水の硬度を決めます。日本の水道水は水質基準法に基づき安全基準が定められていて、そのまま飲めます。
正直、妊娠中の水選びは「これでなきゃダメ」というものはありません。飲み慣れた水道水や軟水のミネラルウォーターで十分。硬水が飲みにくいと感じるなら無理する必要はないですし、外国産の超硬水を大量に飲むのはお腹がゆるくなることもあるので、体調と相談してください。
生活面でできること、受診の目安
食事や水分と並行して、生活の工夫も効きます。横になるときは足の下にクッションを入れて少し高くする、左を下にした側臥位で休む、長時間の立ち仕事のときは弾性ストッキングを使う、軽く足首を動かす。どれも血液を戻しやすくする方向の工夫です。
一方で、次のようなときはかかりつけに相談してください。
- 短期間で急に体重が増えた
- 顔やまぶた、手までむくむ
- 頭痛、目のちらつき、みぞおちの痛みがある
- むくみが片足だけで、痛みや赤みを伴う
妊娠高血圧症候群や血栓のサインのこともあるので、自己判断せず産科の判断を仰ぐのが安全です。
まとめ
妊娠中のむくみは、水分を減らすのではなく「こまめに水分を摂り、塩分を整え、カリウムを含む食材をふだんの食事に入れる」という向き合い方が基本になります。
体調は日によって違うので、完璧を目指さなくて大丈夫。今日は薄味にしてみようかな、今日は麦茶を1本足そうかな、くらいの積み重ねで十分だと思います。気になる症状があるときは、遠慮なくかかりつけに相談してください。
※本記事は栄養や食生活の一般的な情報提供を目的としたもので、特定の疾患の治療・予防・診断を目的としたものではありません。妊娠中の食事や水分摂取については、必ず主治医・助産師にご相談ください。
